鯛のかぶと煮を板前が解説 頭は掃除が大切 梨割りや柔らかくふっくら煮上がります

めでたい!鯛

婚礼、お祝いの魚として料理されます 以前、名の通った料亭に勤めていた頃、その道の方の襲名の宴会がありました その時、用意した鯛が今までの料理人、人生で最も良い鯛でした

その日に水揚げされた天然の真鯛で7キロの大物 浜から直送で届きました 澄んだ目、輝く桜色の魚体、それはそれは見事な真鯛でした 調理場に着いた真鯛は大皿の南天の上に置かれ、絹の糸で尾と頭を縛られて、宴席に出されました

あの日の真鯛の風格は忘れられません

私は料理人として、人様のお祝いには、よく真鯛を造りにして届けます 小ぶり真鯛でも、鯛には他の魚にない、キリッとした品格を感じます 私の気持ちが、確実に相手に届く気がします

鯛兜煮のポイントをあげておきます

ウロコこそ大切
時間こそ大切

この二つです
ウロコは一つでも残ることは許されません 私は修行の時、何時間も鯛頭の掃除を指示されてやっていました 一枚でもウロコが残っていれば、煮方の先輩に大声で注意されました お客様が食べられない物は決して出してはいけない そう、叱られました 今も調理方法は変わっていません プロとしてウロコは残さない 徹底してください

そして、もう一点、時間です これは調理時間を指します 短時間に仕上げることに専念してください 特に火にかけてからの時間は短時間にします 今回は早煮と呼ばれる独特の方法で真鯛を仕上げてゆきます 身の柔らかな仕上げは感動ものです

臭み消しには古根が大切です 季節によって新生姜があればよりベストです

手順はウロコかき、鯛の兜割、別名なし割、水洗い、霜降り、炊き上げ、照り付けです

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調理してゆきます

鯛の兜にはウロコかきで取れない部分があります その部分はウロコがへばり付いて残ってしまいます その為に包丁でこそげ取ります

その部分が写真の包丁の先端です 左右2か所あります 触るとわかりますが、へばりつくような鱗がびっしりと付いています この部分を包丁をしたからえぐるように取り除きます

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左側のその部分

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右側のその部分

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片方づつ取り除きます

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その他の場所は「うろこかき」で取り除きます 最初がカマと腹びれの周りを下から上方向に、うろこかきを動かしてうろこを取ります 腹びれの付け根は残りやすいので注意が必要です また、カマの奥は指を入れて確認しながら残さないように取り除きます

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指で広げています

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続いて目の下、頬を下から上に取ります のこぎりを引くように動かしながら取り除きます 小さなうろこも取り逃がさないようにきおつけましょう

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左右も同様にウロコを落とします

鯛の頭を「梨割り」

「梨割り」という切り方で半分に頭を切断します 鯛の頭はとても固い骨でできています そのため力で切るのは不可能です テコの原理を利用して切りつけます これが梨割りです 最初に鯛の頭の向きですが、腹びれを奥に置きます 頭側が手前になります 頭を見てみると隆起している部分があります ここが、大変に硬い部分です

最初の包丁は鯛の歯と歯の間に垂直に入れます

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ほぼ垂直に入れば刃先がまな板にとどきます まな板に刃先をつけたまま手前に包丁を倒して、頭を切断してゆきます まな板に包丁がとどいていればテコの原理で半分の力で切ることができます 先人の料理人たちの知恵ですね

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きれいに割れました

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固い部分を過ぎました もう一息

DSC03614 DSC03616 頭が割れたら、頭と頭の間にはエラがあります 付け根を包丁で切り引っ張って外します また、脳みそや血の塊を水洗いします

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赤い部分がエラです

霜降りです

湯を沸かします 100度です これを鯛の頭に回しかけます 色が白色になりましたら水に落とします これは煮くずれ防止 臭みとり 汚れとりの役目をしています
細かい残っているうろこと血の塊を流水で掃除します 鱗を残さないことが重要なポイントです 守ってください

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鯛かぶとと共に炊く野菜を切りつけします

一般的には「ゴボウの松葉」「ウド」が多いと思います 今回私はウドを用意しました

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うどの切り付けです

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煮汁を作ります 今回は短時間で身を柔らかく炊き上げます そのため水を使いません 酒と味醂を同じ量で計量して鍋に入れます 全体量は鯛の兜が沈むくらいです 火をつけます 最初は何もいれずにアルコールを飛ばします 火がついてアルコールが燃えます 火が消えれば準備完了です 野菜を入れます…今回はウドです

すぐに鯛を並べて入れます 醤油を回し入れます この段階では薄味がポイントです 煮詰めてゆきます 途中で砂糖を入れます 多少、甘めの味付けになります

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経木や落し蓋をします 汁が持ち上がってきます しばらく炊きます(5分ほど)ここまでは強火です

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さらに煮詰めて鯛に火が通った段階で鯛は皿に移します 火加減を中火にし煮汁に生姜のしぼり汁を入れます 和食では「露生姜」といいます 煮詰めた汁と野菜を盛り付けして完成です 季節により木の芽を天に飾ります

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鯛は日本を代表する魚です 大切に伝えたい日本の食文化です

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鯛のかぶと煮の完成です

さて余談

鯛には、少し変わった骨があります 「鯛の鯛」という名前の骨です 今回は鯛の鯛をお見せしましょう

場所は鯛のかぶとのカマにあります 胸びれが目印です

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見えてきました

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わかりますか?

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これが鯛の鯛 目、胸びれ 背びれ はっきりわかります

鯛のかぶと煮 チャレンジしてみてください

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