サヨリの刺し身 日本料理の捌き方や皮の食べ方 詳しく解説します 春先が旬

■サヨリ

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海岸や岸壁の釣りでもよく釣れる身近な魚です アジ釣り、イワシ釣りのかたわらよく釣れる魚です

銀の身体をもつ、美しい魚です 流線型の身体で長いくちばしが特徴です

このクチバシは下顎です アゴが長ーい魚です

 

小ぶりの魚のため煮付けなどには不向きです 多くは刺し身として食されます

美しい身体に反して、腹の中が黒色です 「見かけによらずに腹黒い」と冗談のタネに使われます

今回はサヨリの刺身の作り方をさばき方から解説してゆきます

 

■サヨリの基本知識

サヨリ科の海の魚です 別名がたくさんあります それだけ日本近海で珍しくない魚ということになります

  • スギ

  • カンヌキ

  • サエロ

  • ヤマキリ

など地方によって呼び方がまちまちです

表記もひらがなでさよりと献立では書かれます 漢字ですと細魚です

 

全長は40cmの細身です 銀色ですが青みかかっています 特に下のほうは透き通った色合いです

内湾に多く、4月から7月に産卵をします 旬は春と秋です

■サヨリの料理

日本料理では細魚はよく使われる素材です 旬は春先です 春の魚として献立を彩ります 特にお高めな魚ですので高級店や料亭、料理屋が一般的です また、寿司店でも細魚はよく使われています 握りの場合は生姜を添えた出し方が多いようです

主な和食の細魚料理は多岐に渡りますが、やはり刺し身がメインです 新鮮な刺し身は白身であっさりとし、銀色の輝く身が鮮度を語ります コースでは刺し身以外の趣向を凝らした料理も見られます 下記のようなものが多いかと思います

  • 塩焼き 卸した身を焼きます 姿焼きは見かけません 菜の花を巻いたりして印籠焼きも盛んです

  • 刺身 一番人気の刺し身ですが、切り方は色々な趣向が見られます 藤造りなど・・・

  • 椀種 結んで片栗打ち つらら仕上げなどで使われます

  • 酢の物 酢に漬け込みをします 薄塩で〆ることを忘れずに

  • 蒸し物 包み焼き等

  • 天婦羅 さっと薄い衣がおすすめです 春先の山菜などと合わせても良いかと思います

このように広い調理法で食べられる魚ですが、今回は人気の料理方法「刺身」を解説します

■サヨリをさばきます

細長いきれいな姿の細魚を捌いてゆきます 日本料理では最も基本の捌き方で解説をします 細い身なので骨を切ったり、身を傷付けたりすることがあります

ポイント 切れる包丁で力を抜いて下ろす

この点を注意して捌いてください 数をこなすことがとても大切です

では捌いてゆきます

最初にウロコがあります 目立たない細かいウロコですが、包丁で撫でるようにして取り除きます 包丁で撫でると包丁に小さな鱗が確認できます 目が悪い方、老眼お方は注意してみないとわからないほど小さな鱗です

注意 あまり強くこすると皮や身を傷めます 

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尾のほうから

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滑らすように

次にエラを取ります

エラの中に多くのサユリは虫が寄生しています 寄生虫は白色で卵を持つ腹を膨らませています 寄生虫は想像以上に大きな体です 包丁の刃先でエラから出します

寄生虫を取り除いたらエラを外します エラは小さなエラです 包丁の刃先か割り箸などで簡単に外せます

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白色の寄生虫

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刃先にいるのが寄生虫です

 

胸ビレを探してください 小さな胸ビレです 刃先とまな板の間に胸ビレを挟み、サユリの身を上方向に引っ張って取り除きます 写真の包丁のは先の下にあるのが胸ビレです 抜き取る感じで引張ます 慣れない方で指が細い方は指で引っ張ってもOKです

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小さな胸鰭です

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腹を裂いて、内臓を出します スタート地点は肛門です(小さな穴がお腹にあります)  そのあと、軽く水洗いします 内蔵を洗うように軽くで構いません

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軽く滑らす包丁

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内臓を出します 水の中で調理

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腹が黒いのが見えます

ここからしっかり掃除をします

さらしやキッチンタオルなどをサユリの腹の大きさに丸めて軽くこすります 腹の中の黒い部分を取ります 優しくこすりましょう

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タオルやリードでこすります

この黒い部分をきちんと落としてください 特に料理店では大切な作業です

今回は姿造りにしますので、頭をつけたまま、さばきます 胸ビレの下に包丁を入れます 中骨に沿って包丁を進めます 慣れない方は、出刃包丁より薄い牛刀や柳包丁が良いでしょう 三枚卸しですが大名卸しで捌きます

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スタートの位置です ここから包丁を進めはじめます

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反対側の身もさばきます おろし終えた中骨は盛り付けで使用します とっておいてください

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無理やりおろさない 滑らすように

さばき終わりました 包丁が切れれば難なく捌けます 多少、身に傷がついても何度か捌けば要領がつかめます

腹骨を取ります 腹にそってゆっくりと滑らせて腹骨をとってください 少し難しいかもしれませんがお腹の表面の骨を透かして取り除きます

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腹の骨の位置

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薄く

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丁寧に

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切り落とします

皮を引きます これは簡単 身を押さえながら指で皮をめくってゆきます 取り外した皮は使いますとっておいてください ところが・・・鮮度が落ちると皮が切れてしまいます あなたが釣り人で今日釣った細魚なら、今日のうちに捌くか、しっかりと氷に入れて鮮度を保ってください でないと、皮はむけません

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ゆっくり引っ張ります

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皮は必ず取ります

中骨の沿って包丁を入れます これは、刺し身にした際に小骨が口に当たりにくくするためです 「骨切り」といいます これは板前モードの方のみで良いと思います 素人は噛んで砕くということで

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和食では骨切りをします

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刃先を使っています

刺し身に切ってゆきます 身を並べます 一口を目安に切りつけます サヨリの大きさによって切りつけは調整してください

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最後の切り付けです 一口サイズを目途に

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すべて同様に

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盛り付けをします 中骨を頭が見えるように置きます 妻を盛り付けして大葉を置きます その上にサヨリの身を置きます 生姜を添えても良いでしょう 銀色の皮目をきれいに見せて盛りつけるのがコツです

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中骨と頭を飾り盛り付けました 高級魚の風格です

■皮のレシピ

皮の調理です

皮は竹串に巻いて、塩を振ってあぶります ほんのすこしの皮ですが、意外と美味しいものです カウンターなどでお客様に提供すると会話も弾みます

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竹串に皮を巻きます

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1枚では足りない場合は2枚

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薄く塩

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炙りは軽く

サヨリはあっさりした美味しい魚です 料理店はもちろん家庭でも簡単に調理できます 皆さんも是非、チャレンジしてください






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