天婦羅の基本 第3回 小麦粉とグルテン カラッと!の秘密解明 粉はバイオレットを使え

揚げ物の種類

最初に揚げ物の種類を考えます 和食の揚げ物には下記のような種類の揚げ物があります

  • 「唐揚げ」小麦粉や片栗粉をつけて揚げる方法
  • 「素揚げ」素材をそのまま揚げる方法
  • 「衣揚げ」小麦粉や片栗を水で溶いて揚げる方法

大きく3つの種類に分かれます この3つの揚げ方を中心に和食の揚げ物の献立は成り立っています

 

そして更に、上の三種類を応用した揚げ物が沢山存在します 具体的には

磯部揚げ 紫蘇揚げ 香り揚げ 磯部揚げ 利休揚げ 南蛮揚げ 春雨揚げ 新引き揚げ あられ揚げ 吉野揚げ なると揚げ

などがあります 「衣揚げ」を変化させて、素材の表面にまぶして揚げる揚げ物が多く見受けられます これらの揚げ方は、素材に合った揚げ方でなくてはなりません 「キス」ならばキスに合った揚げ方を、「鯛」ならば鯛に合った揚げ方を考えることで、おいしいと言われる揚げ物が完成します

 

「衣揚げ」の代表選手

さて「衣揚げ」を代表するのが天婦羅です 小麦と水と卵で素材を揚げる シンプルですが奥が深い揚げ物です 衣の作り方は水の中に卵黄を入れて、小麦粉を混ぜ込みます これが基本の衣の作り方です この衣に小麦粉をまぶした素材をくぐらせて、180度で揚げてゆきます 180度の油で素材と衣の水分を飛ばしカラッとした天婦羅に仕上げてゆきます この水分を飛ばすことが天婦羅の味に大きな美味しさの差を生み出します カラッとしていなければ天婦羅としては失格です

 

意外ですが天婦羅にも種類があります 衣の作り方も多少異なります

  • 精進揚げ
  • かき揚げ
  • ソバ屋の天婦羅

精進揚げは薄めの衣、かき揚げは濃い目、ソバ屋は濃い目の衣が多いです 店によっての違いもあります 「薄衣」がおおむね近代和食では流行ですが、薄すぎては天婦羅の体をなしません

 

花とは

花は天婦羅の周りに付ける飾り衣を言います 海老などの姿を整えるために花を海老の周りに散らします この花も当然「衣」で作ります きれいな花を咲かさるためには適度な硬さの衣が求められます

 

グルテンを知る

さて、本題のカラッとを追及するためにどうしても避けては通れないのがグルテンです

私は天婦羅を教えるときに必ずグルテンを教えます グルテンを皆さんはどの程度ご存知ですか?

小麦の粘りの成分として理解している方も多いかと思います グルテンを理解することでカラとした天婦羅を揚げることが出来ます

グルテンとは・・・

  • 小麦に含まれるたんぱく質です
  • 水と合わさることでタンパク質が変化してグルテンになります
  • 良く煉ると強いグルテンになります よく伸び、弾力が増します まるでお餅のように粘ります
  • 麩はグルテンが原材料です
  • お菓子(パウンドケーキやスポンジケーキ)ではグルテンの性質でおいしく仕上がります

では天婦羅にとってどのようにグルテンが大切なのか?実はグルテンの性質とカラッとした天婦羅を揚げることは密接に関係しています 上手な天婦羅はグルテンをいかに減らすかが大切なポイントになります

グルテンの良く伸びる、弾力があることが天婦羅には大きな逆効果になってしまいます

グルテンは弾力が高まれば高まるほど水分を逃がしません このことで180度の油で揚げてもグルテンが水分を離さなくなり、さっくりとっした天婦羅にはならなくなるからです 歯触りが悪くなって、ベトーとした天婦羅になってしまいます

グルテンを知りグルテンを抑えることが天婦羅をサックと揚げる大切なポイントとなります

グルテンを抑える 強力粉、薄力粉、何が違うの?

グルテンは小麦の種類によってその量が異なります

  • 強力粉 
  • 中力粉 
  • 薄力粉 

勘の良い方は気が付いたと思いますが、強い、弱いはグルテンの作用が強いか弱いかで分けられています

  • 強力粉はグルテンの働きが強い
  • 中力粉はグルテンが中くらい
  • 薄力粉はグルテンの働きが弱い

となります では天婦羅に適した小麦粉は・・・

薄力粉となります

そして、薄力粉で衣を作るときさらにグルテンを抑える工夫をします

あまりかき混ぜない

こうしてグルテンの働きを抑えてカラッとした天婦羅に仕上げてゆきます

実験!グルテンを実際に見てみよう

実際にグルテンを作って、見ることが出来ます

職業として天婦羅を揚げることが必要な方はぜひグルテンを小麦粉から取り出してみてください 私は後輩に天婦羅を教える時に必ずこの実験をしてグルテンを理解させています 簡単ですのでお勧めします

薄力粉をボールに入れます

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1合くらいの小麦粉です もちろんバイオレット

ボールに水を入れてよく練ります

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様子を見ながら水を入れます

はじめはこの位に煉ります

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ぼそぼそに練ります 最初は硬めから

硬さは手に付かない程度で仕上げます それによって小麦粉を足してください

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手に付かない程度が良いです

一つにまとめます

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丸くまとめます

水道水を細く出して静かに小麦を洗います もみ洗いです 出来るだけ静かに・・・

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細い水で ゆっくり もみ洗い

白い粉の成分が流れます その作業を続けます

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白い水が流れます

 

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さらにもみ洗い

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どんどん白い水を出します

次第に表面に黄色のものが見えてきます グルテンです

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薄い黄色がグルテン

グルテンだけを残すように最後までもみ洗いをします

DSC00642

仕上げてゆきます

完成です うすい黄色のグルテンが取れました

DSC00653

集まりました これがグルテンです

グルテンを絞ります

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水分を絞ります

油で揚げてみます 少量です 真似はしないでください はじける場合があります

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油です揚げ 保湿の実験です

揚げたものを食べてみます しっとり、べっとりしています これがカリッと揚がらない原因となります

DSC00662

ベタベタのグルテン

この実験で見ることが出来たグルテンを加工して麩が出来ています グルテンは網上に形成されますので天婦羅の水分が逃げるのを邪魔してしまいます ちょうどグルテンの網が水分をキャッチするかのような状態です 天婦羅にとってグルテンはカラッとを邪魔する天敵です

実際に天婦羅に適している小麦粉は

種別は薄力粉です

グルテンの力が弱い薄力粉を使用して天婦羅の衣を作ります 下記によく使われる小麦粉を用意しました 一般的によく使われるのが最初の写真の日清製粉フラワー粉 業務店で多く使われるのが日清製粉のバイオレットです

DSC00337

小麦粉 フラワー

DSC00334

小麦粉バイオレット

おススメは 日清製粉 バイオレットです

バイオレットとフラワーの違いはバイオレットのほうが天婦羅がパリッとサックと揚がります バイオレットはフラワーよりもたんぱく質が少なく、粒度が細かいためそうなります グルテンの働きがしっかり押さえられます

まとめ

粉選びはとても大切です

グルテンのことを考えて適切な小麦粉を選びましょう バイオレットは多くの天婦羅専門店でも使われています 是非、天婦羅にはバイオレットを使って下さい バイオレットは下記の製菓専門店で購入できます お得な大袋や小袋またバイオレット以外の小麦粉も手に入ります
TOMIZ(富澤商店)オンラインショップ



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