わらび料理くわしく解説 和食の基本アクの抜き0.3%の常識 サワラビが重要 懐石献立まで詳しく解説

ワラビ

誰もが知っている山菜「わらび」 漢字で書くと「蕨」と書きます

日本各地の山野、草地で目にすることができます

今回は蕨の採集、下処理(アク抜き)、調理と詳しく解説をします

日本料理のプロの蕨料理を学んでください

緑が映えるワラビ 山菜の王様

 

ワラビ日向の主

日の当たる場所にしか生えません ワラビは日向ぼっこが大好きな植物です

シダのイメージでゆくと日陰を好みそうな気がしますが、日陰で見ることはありません

ワラビが繁殖している場所に大きな木が育ち日陰が生ずるとワラビは枯れてしまいます

その場所にどんなにたくさんのワラビが群生していても、ワラビを二度と見ることは出来なくなります

何しろ日向の主です

ですので、採集する場合は日の当たる「草地」「斜面」などを探すとワラビを簡単に見つけることが出来ます

新芽のわらび 土から顔をだしたばかりです

ワラビの歴史

平安時代から山菜として食べられて来ました 和名抄に「和良比」として登場をしています

ワラビは食用としておなじみですが、昔はでん粉を糊として使用してきました 和傘、提灯などに和紙を貼る際に使われていたようです

サワラビとは?

サワラビとは漢字で「早蕨」と書きます

和食での献立では「早蕨」と記載することが多くあります

これは最も良い状態の蕨の事を「早蕨」と言うからです 言い換えれば食べごろの蕨というう意味合いになります

蕨は出たての蕾状(新芽)が最適な食べごろです 茎が伸びて葉が茂ったものは味や食感がとても悪くなります

そこで、あえて「早蕨・・サワラビ」として、食べごろであることをアピールしています

みなさんも「サワラビ」を使ってワラビ料理を極めてください

これがサワラビです

ワラビの見立て料理

ワラビは和食では季節感のある食材になります

そこで、ワラビを模す料理があります これは、ワラビ以外の食材でワラビを真似てつくることを指します 代表的な料理が蕨烏賊です するめ烏賊や紋甲烏賊に青のりで化粧をして包丁にて切込金串で巻き焼き上げます 切りつけをして前菜などに使用します

3月から5月の前菜などに最適です 是非、チャレンジしてみてください

ワラビといえばわらび餅

ワラビの根から取れるワラビ粉 このわらび粉から作られるのがワラビ餅です

以前、特集で作り方を解説をしています とても人気の記事でたくさんの反響がありました 作ったあと時間がたっても固くならのいレシピを公開しました 冷凍しても固くなりません 詳しくは下のリンクから特集をごらんください

わらびもち 冷凍しても硬くならないプリプリ食感のわらび餅を教える わらび粉はこれを使え!

 

ワラビの下処理 プロのアク抜き

わらびの下処理で大切なポイントが2つあります

  1. 軟らかい部分のみ使う サワラビが良い
  2. アクを抜く

ワラビにはアクがあります 下処理ではこのアクを抜く作業をします アクの成分は発癌物質と言われています 必ずアク抜きをして食してください また、ワラビの茎は硬い部分があります 口に残り味を損ねます 手でポッキと折れるところを目安に使ってください 包丁で2センチほど切り落として使うのが良いと思います

アク抜きには「灰」「重曹」どちらかを使います どちらを使えばよいのか?よく質問されます 答えは重曹です

下のリンクは楽天の業務用重曹です

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アク抜きの大切なポイント

決して、ゆでない

予熱で火を入れてゆきます 直接、火にかけて煮る(茹でる)ことはしません この点がとても大切です アク抜きの段階で茹ですぎるととけてベタつきます 色も悪くなります 注意をしてください 決して、ゆでません

では、下処理、アク抜きをしてゆきます

重曹と水の量が大切

重曹0.3%が最適です

具体的に言いますと1kgの水に3gの重曹です

0.3%の重曹はおよそ茶サジ1杯程度になります 和食のプロは時に0.5%まで重曹を増やすことがあります ワラビの硬さや性質で調整をするためです どちらにしても基本的な重曹の割合は0.3%が最も使いやすい分量だと思います 適当に重曹をいれるととんでもないことになります 溶けてワラビがズルズルになります 分量は必ず正確に計量をしてください

もしも灰を使う場合の注意

重曹がオススメですがスーパーなどでも小袋に入った「灰」がついて売られています

灰は和食のプロがアク抜きをしても分量の目安が不正確になります また灰の性質によってかなりの差が出ます アクの抜け方が悪かったり良かったりとばらつきが多くでます

灰の種類ですが「木灰」「わら」があります

 練炭 石炭の灰はアク抜き出来ません

灰を使いたい その場合の分量は?

和食の料理人の場合は2リットルの水に一握りの灰を入れます

小袋に入った灰です このようにワラビに付いて売っている場合があります この量ですと1リットルくらいの水が最適です

 

灰もネットで販売されています 知らない方も多いかと思います・・・

下のリンクはワラの灰です


こちらは木の灰です 便利ですね

ではここから重曹でワラビのアク抜きを行ってゆきます

1 水を計量します 1kgです

水を鍋に計量しました

2 重曹を計量します 3gです

重曹です これが3gです

3 ワラビはバットなどに並べておきます

4 水を火にかけて沸騰させます

5 重曹を湯に入れます

重曹を入れます

重曹を入れるとこのように泡立ちます

6 ワラビに重曹入りの湯を注ぎます

ワラビが重曹の湯に浸かっています

7 落し蓋をします

落し蓋はラップなどでも可能です 空気が入らないようにしてください

8 そのままで、12時間置きます 場合によって16時間まで延長可能です

12時間たったワラビです

9 水洗いをします

ワラビを水で洗います

10 1時間程度流水します

大きめのボールで流水中です

11 ゆで直さずにこのまま使えます

以上がワラビの下処理です アクを抜くことが目的です 重曹の量や時間、流水などは適当にやらずに確実に実施してください アクが残ると苦くておいしくありません

わらび料理

蕨の浸し

基本の「ワラビのおひたし」です 家庭ではおひたしは醤油をかけて食べるイメージかもしれませんが、和食店では割醤油(浸し汁)を作り浸しとします また、あらかじめワラビは汁に漬け込みをして味を入れます では「蕨のお浸し」を作ってゆきます

アクを抜いた蕨をバットやボールに入れます

漬け込みの汁を作ります 薄口醤油1 味醂1 出し10 です 家庭では本だしなどでも構いません この汁を一度沸騰させます 完全に冷まします

ワラビに汁を注ぎます そのまま最低でも3時間ほどは冷蔵庫で寝かせます

つけ汁に漬けています

切りつけをします 盛り付けをします

3センチ前後がオススメの大きさ

割醤油(浸しの汁)を醤油の代わりにかけます

割醤油の割合

濃い口醤油1 味醂1 出し4を沸騰させた物を冷まします

かつを節や粉かつをを散らし完成です

完成した蕨のお浸しです 今回は芥子の実をふっています

 

ワラビの白和え

ワラビは下処理をしたものを使います

上のお浸し同様に漬け込みの汁を作ります 薄口醤油1 味醂1 出し10 です 家庭では本だしなどでも構いません この汁を一度沸騰させます 完全に冷まします

ワラビに汁を注ぎます そのまま最低でも3時間ほどは冷蔵庫で寝かせます

バットに入れて寝かせます 汁はたっぷりと

豆腐を絞ります 木綿豆腐です

2時間以上絞り裏ごしをします

裏ごしの上にのせた豆腐です

豆腐に薄口醤油、当たり胡麻(普通の胡麻も可能) 砂糖 味醂を入れます 少し甘く感じる味がベストです

切りつけをしたワラビを和えます

盛り付けをして完成です

盛り付けをします 天盛り木の芽です 赤の器に映えてます

 

白和えの素の業務用です 便利な商品です いつでも簡単に白和えが作れます

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蕨ごはん

下処理をしたワラビを切りつけをします

三センチほどの大きさです

常の通りご飯をとぎます

炊き込みご飯の汁を入れます 割合は下記の割合です

薄口醤油または濃い口醤油1 味醂1 水11(水は8から12まで調整可能)

ご飯の量に合わせて水加減をします

和食店の味は薄めです

炊き上げます 盛り付けをして完成です

出来上がりのわらびご飯です

蕨の信田巻

信田とは「信田のキツネ(歌舞伎の演目だと思います)」から来ています キツネ=薄揚げ となります

薄揚げでワラビを巻き上げて煮物とします つなぎとして生身を使います

生身は当たり鉢で予め当たります そうしないとボソボソの食感になってしまいます

生身 酒 卵 山芋など好みで伸ばしてなめらかにします

薄揚げを開き片栗を打ちます

まな板に薄揚げを置きます

三方を切り落とします

片栗をふります

 

先程の生身を塗ります 長いままのワラビを乗せます

生身の上にワラビをのせました

 


巻取ります

丸く巻取りました 端が大きくはみ出す場合は切り取ってください

棒状の信田巻きをラップにくるみます

20分蒸し上げます

粗熱を取り、煮汁に入れて火を入れます

煮汁は薄口醤油1 味醂1 出し8 です

切りつけをして盛り付けをします これで完成です

ワラビの緑と生身がキレイなコントラストです 青みと桜麩を添えました ワラビの信田巻完成です

 

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まとめ

アク抜きと 若い芽を使うことがポイントです 少し手間がかかりますが美味しいワラビ料理ができあがります 季節感がある春の山菜「わらび」是非極めてください

わらび餅の作りかたは下の記事です

わらびもち 冷凍しても硬くならないプリプリ食感のわらび餅を教える わらび粉はこれを使え!

 

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