そば屋の「だしの取り方」宗田 本かつを さば節で本格的なプロのダシを極める

そば屋の出汁とかえし

日本人の大好きな「蕎麦」の魅力

温かい一杯のかけそばのズルズルとすするあの音

想像しただけで香ってくるようです

出汁の香り 蕎麦の香り 醤油の香り すべての香りが「蕎麦」の芸術を完成させます

今回はそんな香りの中でもっとも大切な「そば屋のだし」の取り方を講習します

プロの美味しさの秘密を探りましょう

 

家の土台の役割が「だし」です 

蕎麦の出来具合は「だし」の良し悪しに大きく左右されます

他の記事で書いた「かえし」や「そば粉の種類」などももちろん重要ですが、なんといっても土台がしっかりしていないとすべてが台無しになっています

基本の基本、土台の土台、もっとも大切な「だし」 温度や材料をきちんと守り、繰り返し実践をすれば必ず身に付けることができる技術です

「かえし」の作り方は別記事で記載しています よろしければ御覧ください 「かえし」作り方

 

そもそも「かえし」と「だし」で何が作れるか・・・?

「かえし」を簡単におさらい

醤油や砂糖、味醂の調味料となります カメにねかせて保存します 作り方の違いによって「本がえし」「生がえし」と種類がわかれます

そして「だし」は魚などからとった旨味のあるスープとなります

 

この「かえし」と「だし」で作れるものは

「冷タレ」・・・ざるそば、せいろそば、などの冷たいそばつゆ

「温タレ」・・・カモ南蛮 かけそばなどの温かいそば

「丼のタレ」・・・カツ丼 親子丼など

「天丼のタレ」・・・各種天丼

そうです 蕎麦屋のタレや汁は「かえし」と「だし」でほとんど出来てしまいます

いかに「だし」取り方が重要かわかると思います

 

 

「そば屋のだし」初めの一歩

基本は魚のだしです 野菜や牛や牛、鳥のだしは使いません 意外ですが和食で使われる昆布や煮干しも使いません 魚の旨味を使った洋食で言えばフュメ・ド・ポワソンに似たスープです

 

だしの材料を見る

ソバ屋で使われるだしの材料は下記のような素材がよく使われます 店や店主のこだわりでブレンドされたり、煮だす時間を変えたり、素材の削り方を変えたりとたくさんのやり方が存在します 

かつを節 粗削り 血合い抜き 血合いなし

まぐろ節 あっさりした味が出ます

サバ節 濃厚な味わいです

むろアジ 関西でよく使われます

うるめ鰯 個性的な味になります

これらの材料がおいしい汁になります そば店では日夜研究されて味を追求しています

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左からサバ、かつを、宗田

言うまでもなく必要です 浄水器や天然水は美味しいだしになります 今回も浄水器の水で作っています

 

本節について

「かつを」原魚とし、3kg以上のものが本節になります 優良カビをつけた枯節(本枯節)を厚くスライスします

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高価な材料です

宗田節について

土佐清水(高知)が宗田節の産地です 宗田鰹をカビ付けして厚削りにします。マガツオに比べると魚体も小さく、血合いの多いのが特徴です。 ダシは色が濃く、エキス分の濃度は高くはないですが、味は濃厚です

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赤い部分が血合いです

さば節について

ゴマサバです マサバに比べると全体的に丸く、脂が少な目です ゴマサバが脂が少ないといっても、鰹や宗田と比べると脂が多いので、コクや甘みもあります しかし、脂の量が5%~25%とかなりブレがあるので脂はサバを選ぶ時の外せないポイントとなります

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しっかり乾燥しています

以上の4つの材料のブレンドでそばやのだしが完成します 材料の選び方は大切です

 

購入先

近頃では楽天などでも良いだしの素材が手にはいます

 

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そばやの「だし」の取り方 実践

今回も東京の老舗店秘伝のだしを紹介します いつも満席のお昼時の後に、ほっと息を抜く時間帯に教えていただきました

水18リットルを火にかけます

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大き目の鍋を使います

本節 宗田節 さば節の厚削りを入れます

それぞれの量は270gです 1対1対1になります

 

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材料を入れます

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沸騰を待ちます

薄く色が出てきます 

途中10分ほどで、だしの味を確認します 最初に香り 次に味を見ます 季節や湿度によって差が出ます 毎回、きちんと味を見て必要な場合は調整します

沸騰させてから30分煮出します 

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色合いはこの位がベストです

 

ネルの布やだしコシ布で漉します キッチンペーパーでも可能ですが多めに使い綺麗に漉すようにしてください ネルの生地は腰巻きなどに使われた布です コーヒーなどのネルドリップのネルと同じです 生地屋さんなどで購入できます 日本料理のだしでも活躍しています

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専門店では専用の漉し機を使います

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ネルで濾しています

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濾し終わった状態

煮だしたカスは使用しません 美味しさ完全に出てしまっているので猫さえ食べません

出来上がった出しです 綺麗な色、香りがでています 冷水に寸胴ごと冷まします

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良い色 良い香りのダシが取れました

 

さてここまで説明したように出汁の基本は

本節 宗田節 さば節の厚削りです

それぞれの量は270gです 1対1対1になりますが応用で

宗田節と本節 1対1

宗田節とさば節 1対1

などと変えることも出来ます

店によって個性を出すことが出来ます 自分の味を追求するのも良いと思います

今回の1対1対1はもっとも落ち着いた味だと思います 

 

参考までに、知り合いの日本料理の料理長は会席料理のコースの中での「そば」などには宗田節と本節 1対1でだしをとっていると言っていました

 

そば屋の基本たれ

さて、ここからはそば屋の基本のタレの作り方です 「出し」「かえし」で作っています

 

冷だれの作り方・・・せいろ蕎麦 もりそば

かえし1 出汁3.5 火は入れません 出汁は冷めてから合わせます 冷蔵庫にて冷やします

 

温かいお蕎麦汁の作り方・・・かけそばなど

かえし1 出汁8.5 火を入れて使用します 

 

カツ丼 玉子丼などのたれ

冷だれ900cc 砂糖110g 醤油90cc 最初に記載した冷タレ(かえし1 出汁3.5)を使います 火にかけて砂糖をとかします

 

天丼のたれ

冷だれ500cc 砂糖140g 味醂100cc たまり醤油250cc 天カス少々 こちらも冷ダレを使います 沸騰させ砂糖を溶かします 仕上げに天かすを入れます

 

そば屋の仕事は、奥深いものがあります 常に研究が大切です 最初に述べましたがダシはすべての味の土台になります 手を抜くことなく良いダシをとる努力をしましょう

 

日本人は本当にソバ好きです 美味しいお蕎麦をたべましょう






 

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