熊笹の色出し 飾り切り 関所切りのポイント 冷凍保存までを解説

熊笹

日本の料理には欠かせられない葉 「熊笹」

山間や自然の豊かな場所ではすぐに手に入ります

そのまま切り付けたり、絵柄を切り抜いたり、品物を包んだりと大活躍です

青い葉が料理を引き立てて、かすかな香りもつけてくれます

今回は熊笹の特集です

生の熊笹の使い方は簡単そうですが、実際は下処理が必要です 和食の板前達の熊笹を料理に使うまでの工程を詳しく見てゆきます

防腐作用

熊笹は腐らない

熊笹は保存効果、防腐効果があります 日本料理では欠かさず使われてきました 食品を包むと笹の成分で品物を腐りにくくします わさびなどにも同様の効果があります

このパワーを利用して近頃では「熊笹エキス」が健康食品として凄い人気です 胃や膵臓に効果があるそうで・・・近頃犬にも飲ませるそうです 知りませんでした お茶に石鹸、薬に・・・何でもありです ただしお値段がなかなかの驚き

 

北海道産クマ笹青汁 90g (3g×30包)

国産 クマ笹無添加100%パウダー【180g】


下記はサプリメントです なんでもありますね

リアルサプリ クマザサ 180粒[リアルサプリ 熊笹(クマザサ)]

熊笹は季節により姿を変えます

二つの熊笹はどちらも同じ場所に生えていた熊笹を季節をわけて撮影しています

違いを比べてみましょう

最初は5月から6月の新芽 鮮やかなグリーンがピカピカと光っています 柔らかく使いやすい熊笹です この頃の熊笹は臭いも爽やかです 新芽はそのまま食べられます(先の細い芽)

 

DSC00981

新芽が育った熊笹

冬、11月から2月までの熊笹は葉のまわりに白い枠ができます また、葉は硬く濃い色になっています 正月などはこの熊笹を使うこととなります ちなみにこの「葉の周りが茶色くなる」から「隈笹」と言われるようになったという説があります

dsc03164

 

[ad#ad1]

和食と熊笹

和食で熊笹を使うシーンはたくさんあります そのために、市場や八百屋で購入して使っています 自然が豊かな店舗では買う必要はないかもしれませんが都市部では簡単には手に入りません 私の知り合いは神社で毎回、店で使う分を採集して厳重に注意をされた人がいます

真空パックの熊笹もあります これを使っている店舗も多いようです

笹の葉 S 100枚パック 【業務用】

笹葉 小(100枚入り)1袋に限り!!送料360円ネコポス対応!! 代金引換、配達日時指定のご利用はいただけません

今回の記事では生の熊笹を採集もしくは生を購入した場合の処理を解説します

この処理を「色だし」と言います また、「色だし」の後の保存方法も解説します

葉蘭と熊笹

解説の前に注意 熊笹とよく似た植物

よく似た使い方をされるものに「ハラン」があります 以前、このサイトでも紹介したようですが、熊笹よりも大きい葉が特徴です 寿司店や葉蘭切りの材料として使われます これも、市場で購入できます

葉蘭(ハラン)とお弁当の深い仲 熊笹との違い

 

DSC00988

右葉蘭 左熊笹です

そしてもう一つ、下の写真は茗荷です

写真で見ると熊笹にそっくりですね 茗荷の葉も料理で使えます

DSC00983

朝露の茗荷の葉

熊笹の下処理 色出し 冷凍

では、下処理と保存を解説してゆきます

熊笹を取ります 枝の部分を残すように切り取ります 枝の部分が持つ部分となります

 

DSC00981

枝を残して切ります

熊笹を洗います スポンジでやさしく洗剤をつけて洗ってください 蜘蛛の巣や汚れが結構ついています 裏表必ず洗います

DSC00992

新芽のころは特に優しくこすります

水ですすぎます

DSC00993

流水でも溜め水でもokです

お湯を沸かします

笹を熱湯に入れます 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10とカウントして冷水に落とします この作業が色出しです

また消毒の効果もあります

DSC00996

10秒数えます

DSC00995

すぐに冷水に

切りつけをします

DSC01000

ハサミ 包丁で切り分けます

DSC01001

左が残った軸

周りが茶色い場合はここで切り落とします 季節によってこの作業が必要になります すべてが青い場合はそのまま使って構いません

 

DSC01002

少し茶色が残っても構いません

DSC01004

この様に除きます

これで熊笹の下処理の終了です

熊笹の冷凍保存

冷凍保存ができます ここからは保存の方法を見てゆきます 業務用の冷凍庫でマイナス50度程度まで温度が下がるものは半年くらい冷凍庫で日持ちします 正月などに使う場合は冷凍保存が良いでしょう

おせち料理の飾り 千両、熊笹、松、竹、葉蘭、ダイソーの正月用品も研究

また、真空調理機がある店舗では真空保存も最適です 私の店舗では真空保存で大量に保管しています 常温で保管できるのでとても便利です 今回は冷凍保存のやり方を説明します

ラップに先ほどの熊笹を並べます

 

DSC01039

並べます

ラップで包みます この時のポイント

大切なのが空気を抜くことです

空気を抜くと変色し難くなります 上から押すように空気を抜いてください

DSC01040

空気を押し出します

DSC01041

包みます

冷凍庫に入れるときはバットなどの平らな入れ物において、型崩れを防ぎます 冷凍します 使用する時は自然解凍か流水です

DSC01042

熊笹の関所切り 飾り切り

熊笹は上記の処理をしたこととします

最初にポイントです

  • 包丁は布を巻く
  • 最初は形を気にしない 大胆に
  • 型紙を用意する

初めからきれいな形にはなりません 最初は大胆に包丁の動きを覚えましょう

 

最初に包丁の持ち方です 包丁に布やタオルを巻きその部分を握ります

 

DSC01006

刃先を残して巻きます

写真のように包丁を持ちます

DSC01008

手が切れそうですが大丈夫

まな板に笹をおきます 笹をおります

DSC01009

左側が茎

DSC01010

半分にします

付け根を2箇所切ります

DSC01011

最初の部分

DSC01012

次は先端

最初の飾りを切ります 外側、内側です

DSC01020

この様に切ります

次の飾りを切ります 流れるように切ります

DSC01022

次がここを切ります


DSC01023

最後の飾りを切ります

DSC01024

三本目の飾りです

先端方向を丸く処理します

DSC01026

丸みをつけます

中の飾りを抜きます

DSC01027

この部分をくりぬきます

 

DSC01028

次がここ

切込みをつけます

DSC01029完成です

DSC01031

ここから、上手くなる方法を解説します

コピーをして練習するのが上達の早道です

プラスチック製のハラン、または先輩などに切ってもらった実物をコピー機でコピーします 下の写真の拡大印刷でも構いません

 

DSC01034

サンプルを用意します

DSC01035

コピーまたは印刷します

 

DSC01036

出来上がりです

 

DSC01037

左本物 右コピーです

その紙を半分に折ります

DSC01038

この図柄をもとに包丁を動かして、角度や長さを勉強します

このやり方がとてもオススメです 練習して上手になってください

繰り返し練習するときれいな形に整い始めます

葉蘭や熊笹に関しては下記の記事にも記載してあります

葉蘭(ハラン)とお弁当の深い仲 熊笹との違い

小石川植物園 板前必見 10の植物

また、熊笹はおせち料理でも活躍します おせちの特集は下記をご覧ください

いくらの作り方 醤油漬け 塩漬けの二種類 板前が解説する自家製いくら

栗きんとん基本レシピ くちなしの使い方 和風マロン白玉 

くちなしの実の基本 栗きんとんに使います 特徴と使い方

金柑 種抜き 甘露煮 金柑ソースとジャム 金柑の味噌餡包 おせちの定番

牡丹百合根  ユリ根 むきもの基本

栗の甘露煮 栗のワイン煮レシピ 甘露煮3つの重要ポイント

[ad#ad1]



関連記事

アーカイブ

2015年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
あなたならジュゲムがイイ
中級者以上向けブログJUGEM PLUS

このサイトについて

このサイトは、日本料理の研究と普及を目指しています 経験年数20年以上の和食職人に寄稿していただき、それらをわかりやすく編集をして公開をしています 原則すべて無料で公開となっています 

専門用語には解説をいれて、写真を多用して納得度がアップするように心がけています どうしても、伝え難い技術は動画も用意しています

調理方法は一つではありません このサイトの調理方法以外にもたくさんのやり方があります 関西や九州、北海道などの地域による違いもあります それらを理解をして、このサイトで学んだことを最初の地図として歩まれることを希望します

経験年数の少ない職人はもとより、日本料理を学びたい方すべてのお役に立てれば何よりです 

世界に誇れる日本料理のさらなる発展を願います

 

ページ上部へ戻る