■ 葛の葉
葛の葉という狐が登場する歌舞伎があります
芦屋道満大内鑑 悲しい女性(狐)の物語です 葛の葉を名にしたきつね 確か母親の悲しさを物語にしています 「恋しくば訪ねきてみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉」と有名なセリフがあります
くずきりを作るたび必ず何故か「恋しくば・・・」が口に出ます そんなことから、個人的にくずきりは、もの寂しい感じが抜けません 濁りある透明感 独特の葛の香り、どこか寂しげです
■ くずきりは乾燥したものも販売されています
乾燥された葛きりは既に棒状になっていてお湯でゆで上げれば完成します 手ごろで簡単に作れます しかし、馬鈴薯などの混ぜ物も多く入っています 本葛で作るものとはかなり異なるものが出来上がります
今回作るのは葛粉を使用して作る本格的な和食の葛きりです
乾燥よりの歯ごたえが違います 是非、自家製で作ってもらいたい一品です
意外と簡単に出来ます 京都に有名な葛きり屋さんがありますが、負けない美味しさです 夏場、氷を浮かべて食べるくずきり 日本人に生まれたことを感謝できる瞬間です 今回は黒蜜ときなこを添えています 黒蜜も沖縄の黒糖から作っています 自家製の黒蜜ですので「はちみつ」もたっぷり入ります お客様に喜ばれる一品です 和食の甘味、デザートの王様かもしれません
■ 葛の種類が大切です
似ている物、類似品 偽物がいろいろあります どうか、本葛を用意してください 今回のくずきりのレシピは京都の板長から教わりました 何度作ってもおいしい葛切りです・・・
今回も京都野田屋の本葛(1kg)です 本当に葛が大切です 注意して材料を吟味してください
■ 葛きりを作ります
葛を計量します 葛50gに水を135g入れます 葛の色を見てください 本物は色が本当にきれいな純白です 目安ですが私の店では、毎回計量が大変な場合は70ccのレードルでは計ります 70cc1杯が葛50g 同じく70cc2杯が135gになります
2分間はそのまま待ちます そうすることで完全に溶けます
溶けていることを確認します
ダマがあると舌触りに影響します 今回は流し缶を使っています バットでもボールでも作れます 熱伝導の良い物が良いと思います 写真の流し缶の横にボールペンをおきました 参考にしてください この大きさの流し缶は1升版といい、丁度1升の水が入ります これよりも小さな入れ物の場合は二回に分けるなどの工夫をしてください 今回の1升番の流し缶は分量の葛を一度で固めるのに適しています
沸騰した湯を用意します 流し缶に葛を入れます やっとこ、でつかんで湯に浮かべます しばらくゆっくりと流し缶を揺らします 均等に広げるようにします ここではまだ湯に沈めないでください 少し我慢します
参考記事 やっとこ
表面が固まるのを待ちます 1分ほどで固まります
固まったら湯に沈めます どんどん透き通ります 少し待って完全に固めます 葛きりに、しっかり歯ごたえをつけます
水に落とします 氷水でも構いません 粗熱をとります
流し缶の四隅に包丁を入れます 手で少しめくります もしはがれない場合は、水に戻すとすぐはがれます 水の中で作業をしてみてください
葛きりをまな板にのせます 半分にします 切りつけをします この時、叩くように切るのが良いでしょう 1センチ以上の厚切りが美味しいです
器に氷を入れます そして水を張ります その中に先ほどの葛きりを入れます
黒蜜 きなこ 塩昆布を添えています くずきりの完成です
写真は青紅葉を演出に使っています 涼しげな感じが良く出ています
お口直しの塩昆布が良いですね 葛きりはこれで完成です この後は、美味しい「黒蜜」を作ります
■ 黒蜜 はちみつ入りを作ります
大切なポイント
黒砂糖は想像よりも溶けません 最初から火にかけると、焦げてしまったり、固まりが残ってしまいます 熱湯に入れてしばらく放置します 時間は1時間から2時間待ちます この水に入れて待つことはとても大切なポイントです
上記の後、火にかけます 弱火です
黒糖240g 熱湯200ccです たまにかき回してください
黒砂糖は下記の商品を使います 溶けやすいのですぐに溶けます 同様の品物は色々ありますが「スプーン印」がオススメです
スプーン印粉末やんばる糖300g×10個1個当り 298円【粉砂糖】【黒糖】02P01Jun14
弱火から温度をあげてゆきます しっかり溶かし込みます 通常は1時間以上かかります
黒砂糖が完全に溶けたのを確認してから、はちみつ40gを入れます
はちみつを入れるとコクがUPします とても美味しくなります
ポイント 最後はしっかり沸騰
沸騰させアクと臭みを取り除きます 沸騰が大事なポイントです 味が美味しくなります
最後に完全に黒糖が溶けていることを木べらで確認します
はちみつ入り黒蜜の完成です 一度食べたら忘れられない味です 葛きりにはこの「黒蜜」以外は考えられないくらい最高の相性です 是非、お試しください 暑い季節に限らず、冬場でも喜ばれる本格「葛きり」です
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