和食の隠語と業界用語 兄貴、弟からピン、リャン、ダリ、ゲタ 符牒(ふちょう)の使い方

隠語つてなに?

和食の隠語 特殊な表現
飲食店和食には業界の人だけが理解できる言葉がある  俗に言う隠語です

隠語は部外者に知られてはいけない単語を違う言葉に置き換えて表現します

もちろん和食の世界に限らす、隠語は他の世界にも存在します 芸能界、呉服屋、株の世界、家電店、医者とそれぞれに隠語を使います

隠語と間違えやすいものに業界用語というものがあります 隠語との境は微妙ですが、今回は業界用語も含めて紹介します

どなんなときに使うのか?

  • 汚いもの
  • 古いもの
  • 勘違いされたくないもの
  • 不吉な言葉を避ける
  • 数字
  • 単純な業界用語
    などでしようか?順番に解説してゆきます

最初は汚いもの

汚いものの代表はトイレです 料理店では不潔なイメージですね

「トイレ行ってきまーす」なんて大きな声でお客に聞こえたら、いい感じはしませんね

お客様は食事中です 避けたいですね トイレという言葉は・・・

そこで隠語です トイレのことは

  • 二のじ
  • 二番 
  • 事務所

などと言います意外と多いのか事務所でしょうか?

「事務所ゆきますー」でトイレに行くことになります

二番もよく使われます 和式のトイレでは足置く場所に板が置かれていました それを上から見ると漢字の二、なので二番と呼ばれます

テーブルの番号を使う店も多いですね その店にないテーブル番号をトイレの隠語にするパターンです

「18番ですーーー」

みたいな使い方です

 

古いもの表現

古いものや新鮮ではないものに使われるいんごです
古いものはアニキ、兄貴と言う意味です

逆に新しいものは、おとおと、と呼ばれます

この兄貴、弟は本当によく使われるいいかたです

和食の隠語では最も有名な言葉です 最初に覚える隠語かもしれません

勘違いされたくないもの

なんのことだかわからないかもしれませんが、これも日常的によく使われます

ける、と言います
フライパンや鍋で炒めることをけると言います 炒めるが痛めると間違えられるのを避けるためです

「青梗菜、けってな」こんな感じです

不吉な言葉を避ける

すり鉢のこと
する、という言葉が失う言葉の意味になるので、当たり鉢といいます 同様にすり棒ではなく、当たり棒とあります

縁起を担ぐ言葉ですね 博打の「する」「当たる」と同じ使い方です 確かに「当たる」がいいのは当たり前ですね

下ろし金
大根おろしなどを作りますね   これも和食では、当たり金となります

これも「下し」という言葉を嫌います 「当たり」に直しています

数字

寿司屋が多いでしようか ?符丁(ふちょう)とも呼ばれます

お会計などに使用されます 八百屋や呉服屋が同じような隠語を使います 会計の金額や原価など大きな声で知られったくない数字を伝えるときに使います

若い板前「この刺し盛は・・・?」

板長「ソクバンだ」

このように使います 1800円ということになります 大きな声で言ってもお客様は金額がわからないですね

具体的に数字を順番に解説すると
1から順番に、ピン、リャン、ゲタ、ダリ、メ、ロン、セイナン、バンド、キワこんな感じににります  10は1と同じピンに戻ります

11からはピンピン、チョンブリ、ソッキリ、ソクダリ、アノ、ソクロン、ソクセイ、ソクバン、ソッキワとなります
20はリャンになります

ノピン、ノナラ、ノゲタ、ノダリ、オツモ、ノロン、ノセイ、ソバン、ノキワ、

ゲタ、ゲタピン、ゲタリヤン、ゲタナラ、ケタセイ、ケタメ、ゲタロン、ゲタセイ、ゲタバン、ゲタキワ

ダリ、ダリピン、ダリゲタ、ダリナラ・・・・

このように変化してゆきます 15と25と数字が並ぶときは少し変則てきになります

単純な業界用語

数えたら限がないほどあります 献立名なども含めると膨大です

簡単なところだと
丸十はさつま芋
南瓜はカボチャ
天豆は空豆
など・・・献立の名前などでは

胡麻は利休

海苔は磯部

納豆は岡部

たくあんは東海寺

炒り卵は山吹

昆布は翁

みかんを紀州

ブドウを甲州(甲州和え)

湯葉を東寺

吉野は葛

数えきれないほどの隠語、業界用語です たぶん、言葉遊びの「粋」なんですね

和食はこの世界だけの言葉を持ちます 便宜のため、洒落のために伝わってきた伝統的な言葉です 使いやすく便利です

また、これらの言葉を使い始めるとなんだか「プロ」意識も出てきます

しかし

裏を返せば、お客に対しての内緒話の要素も含みます 誤解を避けるための使い方は良いのですが、ダマス意味合いになりかねない場合もあります 注意をして使いましょう

使うことによって、逆に勘違いをされてトラブルやクレームをもらう場合もあります 特に、数字の隠語(ふちょう)はお客様は良い印象を持ちません 注意が必要です 金額や数字はわからなくても、お客のことを言っていること、お客に内緒なことはわかります

知り合いの料理長は、カウンターでの対面接客ではメモをかいてホールや調理人に連絡をしていました

業界用語を大声で叫ぶよりもスマートであると感じました

私の店も、数字の隠語(ふちょう)は教えますが、客前では使いません

これも「おもてなし」だと考えています

店には店の品格があります 使い方には十分に注意をしてください

余談ですが

お客がいないこと ゼロのことは

お茶をひく

ですね これも、よく使われます おわり




 

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