浜防風(ぼうふう)「錨(いかり)防風の作り方」「浜防風酢漬け」和食の技

浜防風

野菜としては無名です 知らない方も多いかと思います 細長いひょろっとした野菜です 藁(わら)で30本程度に束ねられて売っています 特殊なので市場の八百屋や妻物のお店で購入します 和食ではとても馴染み深い野菜です 今回は「防風」を勉強します 和食では「防風」「浜ぼうふう」「ぼうふう」と呼ばれています

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観音崎公園

下の浜防風は観音崎公園で見つけました 三浦半島の観音崎には自然が残っています 軍事基地としての役割をおえて、今は公園として、海上の交通の監視施設として役立っています

こうした海辺の公園や浜辺の草地や砂地に浜防風は育っています 海の近くに住んでいる方は手軽に手に入るかもしれませんが、絶滅も危惧されています 見られるところでは簡単に見つかるのですが・・・大切にしたいものです

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防風は薬として使われます

風邪の薬として使われてきました 防風の根を乾燥させて煎じて飲みます 中国産の防風と日本の防風は本当は違います 今回、紹介している日本料理で使われる防風は正式には「浜防風」そして薬として使われる中国のものは「防風」と分けて考えられています しかし「浜防風」は「防風」の代用品として江戸時代から使われてきました 解熱作用があり屠蘇散にも使われてきました

下記のように浜防風の粉末は売られていますが、とても高価です

 

栃本天海堂北沙参(ホクシャジン・別名:浜防風、ハマボウフウ)・中(中国産・刻) 500g【健康食品】(画像と商品はパッケージが異なります) (商品到着まで10~14日間程度かかります)(この商品は注文後のキャンセルができません)

浜防風と日本料理

浜防風は日本料理で使われる野菜です メインの料理としてはあまり使われません 飾りや添え野菜として使われることが多いようです 前菜に添えたり、刺身に添えたり、そのようなさり気ない所でよく使われています

市場の浜防風

浜防風の旬

浜防風にも旬があります 浜防風の旬は春です 実は知られていないのですが浜防風は芹科の植物です 芹の旬も2月から4月です 浜防風もほとんど同じ時期が旬となります

浜防風の産地

海辺では意外と栽培されていません 埼玉、茨木で多く栽培されていいます ハウスで柔らかく、きれいに育てられています

では、この後は浜防風の料理を3種類解説をしてゆきます

 

浜防風の調理 1「錨防風」

錨(いかり)防風は日本料理ではもっとも使われる方法です 料理と言うよりは飾りとしての使い方です もちろん食することも出来ます 使い道は酢の物や刺身です 浜ぼうふうの細工技術として覚えてください いかりとは船のいかりを指します 漢字ですと錨です その船の錨の形に浜ぼうふうを仕上げてゆきます 今回の浜ぼうふうは市場で購入をしました

20から50本が一束で売られています

ワラで止められています

 

最初に浜防風を水洗いをします 1本ずつバラシテよく洗います 生食なのできおつけましょう

ここで、針を用意します 浜防風をまな板に置きます 根の部分を十字にサキます この裂いた部分が丸まります ここで問題になるのが浜ぼうふうの長さです 仕上がりの長さが長いほうが良いのか、短いほうが良いのか、盛り付けをする料理によって考える必要があります この点は調整をしてみてください

この様な針を用意します

長さを料理によって調整をします

最初の針をさしています 浜防風を動かす感じで裂いてゆきます

このように裂きます

二回裂くと4つに別れます

 

 

水に落とします 大き目のボールに入れないと絡みつきます 余裕のあるボールや容器を選びましょう

ボールに落とします

しばらく水に放つと針で裂いた部分が丸まります 錨防風の完成です

先がクルクルと持ち上がってきます

盛り付け例です これで「いかり防風」の完成です

浜防風の調理 2 「酢の物の天盛」

浜防風は酢に漬けると鮮やかな赤紫色になります 酢の物の天盛などに色を添えることが出来ます

浜防風水洗いをします 汚れを落とします

葉を包丁か手で落とします 葉の部分は今回は使いません さっと茹でて吸い物などに使えます

葉を落とします

切をとして後の茎を酢につけます 酢の割合は下記の割合です

浜防風の酢の割合

だし3 味醂1 薄口醤油1 砂糖 一度沸騰させて酢を飛ばします 冷ましておきます 砂糖は微かな甘味程度です

酢に漬け込みました

数時間から1時間漬けこみ完成です 切り付けをします 天盛で使用する場合は1センチ程度で良いでしょう 酢の物の天に飾り完成です

このように切りつけます

 

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盛り付けの例です

浜防風の調理 3 「浜防風のお浸し」

浸しは和食では醤油をかけません 浸し汁を作ります 醤油だと味がきつくなり素材の味がわからなくなるからです その為に割醤油と言うかまろやかな浸し汁を作ります

和食の浸し汁 だし10 味醂1 薄口醤油1

上の割合は素材の味を殺さない浸し汁ですが、辛い物が希望の場合はだしを少なく7とか8とかにしてください

浜防風を茹でます 1分程度です

氷水に落とします 色を出します 完全に冷めるまで置きます

水を絞ります

ジアライ(地洗い)先ほどの浸し汁をボールに少量分けてその汁に絞った浜防風を入れ洗います そして絞ります こうすることで、水ぽさが消えて味がしっかりとします 下味をつける作業だと思ってください

切付をして盛り付けをします

完成です

まとめ

浜防風は家庭ではあまり使わない野菜です しかし和食では必ず知らなければならない野菜です 積極的に春先の野菜として使ってみてください おすすめします

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